
東京都が先日、人口のピークが2025年で1398万人に達すると発表した。従来の予想よりも5年後にずれたことになる。15年の人口の推計値は1352万人だから10年で46万人しか増えない。たったの約3%。ただ、世帯数は今後もずっと増えそうだ。それも1人世帯が増えていくように思える。
世帯数は、ほぼ住宅需要と重なる。つまりは、1人住まい用の住宅需要は賃貸、分譲に限らず今後も増え続ける。
最近、東京や大阪の都心で供給される新築マンションを見ていると、「コンパクトタイプ」と呼ばれている60平方メートル未満の間取りが多くなった。住んでも2人。だいたいがシングルの需要を想定している。
そういったマンションの広告を見ていると、若いシングル層を想定しているように見えるが、実際に購入するのは40代以上が多いはずだ。
私のところにも、よくシングル層から購入の相談を寄せられ、ほぼ40代以上。「ローンが組めるうちに」という発想が多い。
今後、そういう人の割合が増えていくだろう。都の人口が10年で約3%増えるというのも、出生率が上がるというよりも、そういったシングル層の流入が見込めるからではなかろうか。
かつて、マンション業界の主要ターゲットは30代の子育てファミリーだった。郊外の3LDKが中心。35年ローンを組むと、月々の支払いは家賃以下になるような価格設定だった。
今もそういうタイプの物件は開発されているが、いかにも時代遅れである。郊外だったら、そういった新築マンションの近隣で、築20年程度の中古マンションが半額以下で購入できるからだ。
だから、マンション業者は郊外での開発を半ばあきらめて、事業の重心を都心へとシフトしてきた。そして、商品構成の主体をコンパクトマンションに置いている。
あと20年もすると、都の人口のかなりの部分がシングル層になる可能性がある。それも、中高年以上の人々が最大のボリュームゾーンだ。団塊ジュニア世代が中心になる。
東京はまもなく、中高年シングルが主役の街になり、ちょっと寂しいが、それを避ける道はない。そして、彼らの住まいは郊外の3LDKではなく、都心や準郊外の駅近にあるコンパクトマンションになる。便利のいい場所にあるコンパクトは、そういった需要が見込めるので資産価値は安定するだろう。
逆に、かつて大量に供給された郊外のファミリー向け3LDKに対する需要は細ることになる。
世帯分離で子供が出ていった郊外のファミリーマンションを所有しているのなら、今のうちに売却して便利な場所のコンパクトに買い替えておくべきだ。今はまだ買い手が現れるかもしれないが、あと何年かで売れなくなる可能性が高い。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。
引用
本文 http://re2ch.com/archives/67978342.html
画像 http://re2ch.com/archives/67978342.html
コメントをお書きください