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認知症で資産が凍結?親が施設に入る前にすべきコト

団塊世代の人たちはその昔若いころ、一生懸命働きマイホームを持つことが人生の一つの目標だった。

しかし、そんな団塊世代の人たちがどんどん高齢化し、しかも認知症にいなったときその人が持っている

財産はどうなるのか、そんな記事を見つけたので紹介します。

 

空き家を処分できない理由

49歳の鈴木隆(仮名)さんには今、頭を抱える問題がある。

 

それは、空き家となった実家が処分できないこと。実家の所有権利者が両親のため、両親2人の承諾が必要だという。

 

介護施設に入居している両親だが、2カ月ほど前から父親の認知症が急激に進行し、そのため、具体的な話が進んでいたものの、家の所有者である父親が売買契約を

結ぶ「判断能力がない」と見なされ、家が売れなくなってしまったのだ。

 

介護費用などへの不安は募るばかりだ。

 

65歳以上の4人に1人が認知症またはその予備軍とも言われる今、親が認知症になることで「実家を処分できない」「預貯金を引き出せない」など、親の財産が事実上“凍結”するトラブルに直面する人が後を絶たない。

 

今回3組の親子を取材する中で、親の財産が凍結されてしまうリスクと、そのリスクを回避できる新たな対策が見えてきた。

 

実家が売れないことで増していく負担

父親の認知症が進み、実家が売れなくなってしまった鈴木さんは今、様々な負担に迫られているという。

 

毎月の介護費用は両親2人で毎月約60万円にのぼり、一時入居金を1人あたり数百万円を支払った。さらに、実家の固定資産税や、空き家になったことで値上がりしてしまった火災保険料の支払いなどが発生する。

 

現在は、貯金で何とか賄えているが「もうちょっと早く、父が判断をできる時に実家の売却を判断してもらえれば良かったなと思うんですけれども…」と育ち盛りの娘が2人いる鈴木さんは苦悩を語る。

 

 

財産問題に詳しい、司法書士の元木翼さんは「一般的に契約などの法律行為を行うためには、ご本人がメリットとデメリットを理解している必要がある。認知症が進んでしまうと、事実上手続きをご自身でするのは難しいと言わざるをえない」と法律上の難しさを話す。

 

認知症になると、即財産が凍結されるわけではないが、一般的には、親が契約の内容を理解しているか、立ち会った司法書士などの専門家が判断するという。

 

 

処分できた理由は『家族信託』

川崎市に住む49歳の高橋千賀子さんもまた、空き家となった実家の処分に苦労したという1人だ。

 

高橋さんの父・朗さんも認知症と診断され、現在要介護度3。2年前介護施設に入所した。同じ頃、母も体調を崩して別の施設に入ることになってしまった。

 

介護費用は2人分を合わせると月40万円~45万円かかるが、自らの子供の養育費など、自分たちの生活もある。

 

そこで、介護費用を捻出しようと両親が住んでいたマンションの売却を検討したのだが、父親の認知症がこれ以上進むと手続きが困難になり、売却できなくなることが分かった。

 

「所有者の父が売買契約できないということは、売却もできなければ、貸すこともできないまま、ずっとそのまま管理費などを払い続けるだけ。相続として亡くなるまで処分できない」と話す高橋さん。

 

“ある手段”を使って凍結状態になるのを阻止したという。

 

 

判断能力がない人の財産を、第三者が管理する方法として『成年後見人制度』が知られているが、家の処分にも、家庭裁判所の判断が必要になり、手続きに時間がかかることもある。

 

そこで、高橋さんが取った方法が『家族信託』だ。

 

 

最近になって利用されるようになったこの制度『家族信託』は、親が元気な内に、財産の運用や管理の方法を話し合い、信頼できる家族に委託する契約を結ぶ。

この契約に基づき、家族の判断で、財産の管理や運用をできるようにするというものだ。

 

高橋さんは『家族信託』を、父親の認知症が進む前に契約し、財産が凍結状態になるのを免れたという。

 

介護費用の目途はついたというが「いくら子供とは言え、親のプライドを傷つけるわけにはいきません。やはりお金の具体的な話をするのは、いい気持ちはしないと思ったんです」と当時の苦労を語った。

 

親と『家族信託』契約を結ぶには

親世代は子供に財産を託すことを、どう思うのか街の人に聞いてみると「任せますよ!他人よりいいと思うから」との声や「やらないよ。わが子でも心配なこともあるから」と賛否両論。

 

逆に子供世代にも話を効くと、「母とはそういう話はあんまりしないですね」や「やっぱり話しにくい」と、やはり気が引けるとの声が多かった。

 

一方で、相談に訪れる人が増えているという場所がある。

 

そのセミナー会場に訪れると、そこでは日本財託の家族信託コーディネーター横手彰太さんが講演を行なっていた。

 

 

その後行われた個別の相談会では、財産について聞き取り調査を行い、親子の希望に沿う形で家族信託を結ぶ手伝いをしているという。

 

「我々が間に入ってご両親の思いや、お子さんの思いをお互いつなげる手伝いをしています」と話す横手さんに、実家の今後について相談中だという47歳の横溝美子さん。

 

横溝さんが、横手さんとともに訪れたのは、仙台市内にある実家だった。実家で暮らすのは81歳の父と75歳の母。

一方、横溝さんは都内、姉が静岡とそれぞれが離れて暮らしている。やはり心配なのは両親が、施設などに入った時、実家の管理や処分をどうするかということだ。

 

そこで、この日は横手さんとともに家族信託について、話し合うという。

 

 

横溝さんからの問いかけに対し、父親は「子供に託しておけば一番問題ないんじゃないかなって思っている」と話し、母親は「施設に入る時に手続きとかせず、お金とかの管理してもらえればいいと思っています」と、財産管理については、ご両親とも前向きのようだ。

 

しかし肝心の実家については、自分たちが苦労して苦労して建てた家だから、簡単に売ってお金を分けるということだけはしたくないと、処分に関しては難色を示した。

 

ここでコーディネーターの横手さんが、自宅などを売却せずに介護費用を賄えるだけの資産があるかなど、具体的なことに踏み込むと、子供には負担を押し付けたくないという、両親の思いが語られた。

 

今後もお互いの要望を話し合い、ベストな方法を探ることにした、横溝さん親子。

 

切り出しにくい、親の財産の行方。まず第一歩を踏み出すことが、大切なようだ。

 

 

『家族信託』の注意点

もし施設に入ったとしても、たまには家に帰りたいから、家を残しておきたいと思う親世代の気持ちはある。しかし現在、認知症になってからの平均余命は10年近くある場合が多いため、その間どうやって子供などの家族が支えて行くかということが問題になってくる。

 

今回高橋さんや横溝さんの話で出てきた『家族信託』は、親の財産管理が目的で、基本的には親のために使われるもので、贈与ではない。

 

住んでいる家が賃貸だから関係ないと思う方もいるかもしれないが、家の売買契約が出来なくなる以外にも、銀行の窓口で預金を下ろす際、本人が行かないといけないのはもちろん、本人が銀行窓口に行ったとしても、認知症だと意思確認・本人確認が難しいため、引き出すことができない場合もあるという。

 

 

一方で『家族信託』には注意点もある。

まず、後見人制度のように裁判所などの公的機関が監督していないため、不正が発覚しづらい。

また、比較的新しい制度のため、専門家がまだ少ないという。

さらに、任せられる家族がいない人は制度を利用できないという点と、費用が約60~70万円かかるのが一般的だということもあり、介護費用などのバランスを考えながら、利用することが大切だ。

 

 

引用:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180113-00010002-houdouk-life&p=1

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