
空き家が増える原因の一つとして、相続人が多く遺産分割の協議がまとまらず、名義も変えずにそのまま放置状態になっていることがあるようです。
そこで今回は、相続した遺産の名義変更についてご紹介します。
親族ががお亡くなりになられたとき、遺産をどのように相続するかの問題が発生いたします。しかしながら、すぐにその問題に取り組むことは不謹慎と捉われがちです。
葬儀の手続きや遺品の整理、納骨や
四十九日など人が亡くなりますと相続以外にも様々な対応が求められます。
相続人としても、ある程度落ち着いてから相続の問題に取り掛かりたいと考えるケースもあると思います。
現在の税法における相続では、基礎控除が「3,000万円+法定相続人×600万円」と定められており、相続税が発生するケースと発生しないケースがあります。例えば、法定相続人が2人(妻と息子1人など)の場合は、基礎控除が4,200万円になります。この他、妻には配偶者特別控除などの特例もあります。
このように数千万円単位の遺産を残していなければ、相続税は発生しません。実家などの不動産についても、評価額が基準になるため、相続では売買相場よりも低めに評価されます。
相続税は相続が発生したことを知った日(一般的には亡くなった日)から10ヶ月以内という納付期限が定められていますので、相続税が発生するケースではこれを目安に相続問題に対応する必要がありますが、遺産がそこまで多くないケースでは、これを目安にする必要がありません。
遺産の内容が預貯金などの現金である場合は、分割内容さえ決まってしまえば、それ以上の手続きはありません。しかしながら、実家などの不動産が遺産に含まれる場合は、故人からの名義変更が必要になります。それではこの名義変更を行う
期限はあるのでしょうか?
その答えは、「期限はありませんが、早めに名義変更を進めることをお薦めします」です。実家などで故人が亡くなった後もそのまま居住するのであれば、名義変更をしていなくとも特に支障はありません。ガスや電気などのライフラインの名義を変更してしまえば、そのまま生活が出来るでしょう。また、固定資産税もコンビニなどで納付してしまえばそれ以上の追求は無いでしょう。
早めに名義変更すべき理由は、他の相続人の事情が変わる可能性があるからです。前述の例の場合、相続不動産の名義変更をする前に、妻が亡くなってしまうと、名義変更には妻の相続人の協力が必要になってきます。
再婚などの場合は、他に相続人がいる可能性もあり、その相続人とは面識が少ないまたは無いというケースも多々あります。その場合、相続内容に揉めるケースもあれば、印鑑証明書などの書類提出を依頼するのにも苦労してしまいます。
一つ一つの相続をしっかりと完了させることは、後々のトラブルの防止にもつながります。相続の内容が難しければ司法書士などの専門家は相談をして、早めの対応を心がけましょう。